「Q&A」ご利益ってどんなこと?

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答え

 「利益」という漢字は、私たちの日常語では「りえき」と読みますね。この場合、利すること・ためになることを意味します。「利益(りえき)をあげる」などと聞くと、なんだか得をした気分になります。私たちの日常生活では、損か得かはとても重要な関心事です。
およそ二五〇〇年前、お釈迦様がお生まれになった頃のインドでも、いかに実利(現実の利益(りえき))を得るかということは、人生の大きな目的の一つでした。王族としてお生まれになった釈尊もまた、いかに領土を拡張し、王の利益(りえき)を増大するかといった実利の学を修められたことでしょう。しかし、実利を得ることに翻弄されつつもやがては死に行く人間のあり方を厭(いと)い、出家の道を選ばれました。損得を超えるあり方を探求されたのです。
お釈迦様が立たれた道は、仏の道でした。仏の道とは、私たち衆生をすべて救おうという道です。「利益」を仏教では「りやく」と読みます。「ご利益(りやく)」と聞くと俗語の意味に引きづられて、病気を治し、寿命が伸び、金銭や名誉などを得ることを思い浮かべるかもしれません。しかし、実は、そうした人間の願望を超えた道が、仏様から自然に与えられていることを意味します。「ご利益(りやく)」とは、世間的な損得を超えて、仏様のお救いに私たちがあずからせていただいているということなのです。

(第7組   了願寺   安間   観志)