「Q&A」地獄はあるのでしょうか?
最初に日本人の地獄観に影響を与えたのは、七高僧のひとり源信僧都の著書『往生要集』です。そして、『往生要集』の文章をもとにして描かれました地獄絵図が私達の地獄のイメージとなっています。さて本題にはいらせていただきます。
地獄はあるのですか、と尋ねられたなら、ありますと答えさせて頂きます。ただ生前に悪い事をし、亡くなってからいく世界ではなく、生きている私達が常に作り出している世界です。私達が常に作り出していると聞いて、驚く方もいることでしょう。しかし、厄介なことに私達はその事に気付かずに生きています。私達に分かりやすく、馴染みのある地獄の一つに等活地獄とい うのがあります。鬼がこん棒で人をぺしゃんこにし、ぺしゃんこにされた人が風によって飛ばされ元に戻るということが永遠に繰り返される地獄です。この地獄を私達の日頃の姿で例を挙げて説明しますと、お酒を飲みに行き、お酒を飲み過ぎて次の日に二日酔いになり、苦しい思いをしているにもかかわらず、何日かしたらその事を忘れまた同じ失敗をしてしまう。自分の欲を最優先にし、自分自身を見失った世界です。地獄は、私達の思いや都合によって作り出される迷いの世界であり、生きている限り私達は地獄を作り出してしまいます。今、自分が地獄にいると気付くことが出来た時、地獄が障りとならなくなります。その事 に気付く縁となるのが南無阿弥陀仏とお念仏申すことです。どうぞ共にお念仏申しましょう。
(第14組 專隆寺 澤田 友)