「Q&A」法話で「世の中と私たちの心に真実はない」と聞きました。本当でしょうか?

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答え

仏教では「世の中」は「無常」と教えられます。例えば、整頓された部屋も時間が経てば散らかりますし、淹れたてのコーヒーも時間とともに香りを損ないます。熱烈な恋愛感情もやがては冷めてしまうでしょう。世の中に永久不変のものはない。これが無常ということです。誰もが経験上よく知っている。だけれども、どうしてもそこに永遠性を求めてしまう。美しいものや愛するものは、永遠にそうあって欲しいと願い、これこそ真実だとしがみつくことをやめることができません。

こうした「私たちの心」は、「無明」だと教えられます。明るさが無い。暗闇の中で手探りに何かを求め、そこに永遠性を求めます。大自然に感動し、音楽を愛で、人を慈しみ、友情を分かち合っては、この心こそが本物だと喜びます。しかし、その同じ心が、怒り、腹立ち、そねみ、妬みの感情をも生み出します。心そのものも無常であって、いっときもとどまることはありません。

私たちは、こうしたことを頭で理解しても、残念ながら本当にそれを心に落とし込むことができません。相変わらず、目の前のものにしがみつくことをやめることができません。私たちの心そのものが真実となることはないようです。しかし、無明の心を教えられるところに、その暗さを照らす光に思いを馳せるということが起こります。だからこそ、「世の中と私たちの心に真実はない」と教えられては、その都度そこに響く南無阿弥陀仏に手が合わさるのです。

(第7組   了願寺   安間   観志)