「Q&A」葬儀で使った白木の位牌が残っているけれど、どうしたらよいのでしょうか?

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答え

 お葬式の後、ご命日から数えて七日ごとに中陰のお勤めをし、四十九日目に満中陰の法事行います。白木の位牌は満中陰までの間、お内仏の横に設けた中陰壇に置きます。満中陰が終われば、中陰壇は片付け、白木の位牌は使いません。その代わりに法名軸か過去帳に法名を記すのが一般的です。また、真宗では白木の位牌に魂が宿っているとは考えません。この世のご縁が尽きると、お浄土に帰って行かれるのです。

 ところで、森絵都さんの「出会いなおし」という短編集に、「年を重ねるということは、同じ相手に何回も出会い直すことだ。会うたびに知らない顔を見せ、人は立体的になる」という言葉があります。家族にとっては、亡くなった方のことは家族が一番知っているようにも思えます。しかし、弔問された方から家族の知らない一面を教えていただくこともあるでしょう。また、反発して素直に言葉を受け取れなかったこともあったかもしれません。白木の位牌がおかれている間、お浄土に帰って行かれた方と「出会いなおし」をすることができれば、幸いなことではないでしょうか。

 白木の位牌がまだ残っているというご相談ですが、一度、お手次のお寺のご住職にご相談されてはいかがでしょうか。そのことがまた亡くなられた方を通してお念仏の教えと出会うご縁となるかもしれません。

(第15組   安通寺   楠本   史朗)